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ドバイノート

アブダビの国営石油会社ADNOCとは?ICVプログラムや日本との関係を解説

投資対象としてのドバイ
アブダビの国営石油会社ADNOCとは?ICVプログラムや日本との関係を解説

ADNOCはアブダビ政府100%保有の国営エネルギー企業です。上流から下流、ガス・化学に至るまでエネルギーバリューチェーンを統合運営し、2018年にICV(国内付加価値)プログラムを導入して産業の多角化を加速しました。

日本とも資源調達やクリーン燃料の産業面で協力関係が進んでいます。

アブダビの国営石油会社「ADNOC」とは

アブダビの国営石油会社「ADNOC」とは

1971年に設立されたADNOCは、アブダビ政府が全株を保有する国営エネルギー企業です。
エネルギー業界を代表する企業であり、探鉱・生産(上流)から精製・販売(下流)、ガス開発や化学事業まで幅広い分野を一体運営しています。

UAEにおける役割

アラブ首長国連邦(UAE)の確認可採原油埋蔵量は世界トップクラス(約1,130億バレルで世界5位)にのぼります。ADNOCはUAEの石油確認埋蔵量の95%を管理しているとされ、輸出基盤の中核・要を担っています。

ADNOCは国家の成長と経済多角化の“エンジン”と位置づけられ、持続可能なサプライチェーンの構築や地元人材の育成に注力しています。

ADNOCの「ICVプログラム」とは

ADNOCの「ICVプログラム」とは

ICV(In-Country Value)プログラムは、政府・準政府の調達をテコに「国内でお金と雇用を回す」仕組みです。

この制度では、サプライヤーや請負業者の現地雇用や設備投資といった「UAE国内経済への貢献度」を数値化。そのスコアが入札評価に活用され、スコアが高い事業者は優遇を受けられる場合があります。UAE国内での経済投資にインセンティブを設けることで、国内経済の多角化を誘引しやすくする狙いがあります。

2018年にADNOCが先行導入し、その成功を受けて2021年にはUAE産業先端技術省(MoIAT)主導で全国版の「National ICV」プログラムへ拡張されました。

目的と効果

ICVプログラムの目的は、国内サプライチェーンの戦略的な育成、新たな国内産業やサービスの発展、エミラティ(UAE国民)の雇用創出、研究開発への投資促進、輸出拡大による経済多角化など多岐にわたります。

実際、ADNOCがICVを開始した2018年からの累計で民間部門に11,500人のUAE国民雇用を生み出し、約1,870億AED(約510億ドル)を国内経済に再配分したと報告されています。

これは、石油収入による利益が国内の他産業にも循環する新たな経済モデルを形成したことを意味します。

“ADNOC発 → 国全体”への拡張

ADNOCで成果を収めたICVプログラムは、2021年にUAE産業先端技術省(MoIAT)の主導で国家規模の「National ICVプログラム」へと昇華しました。

現在では各連邦政府機関や国営企業、民間の大手グループにも採用され、UAE全土で統一された枠組みが適用されています。

これはすなわち、「石油だけに頼らない経済」を実現するための制度インフラの一つとして機能していると言えます。

日本との関係

日本との関係

供給面

UAEは日本にとって最大級の原油供給国の一つです。例えば、2025年9月には日本の原油輸入量の約46.5%(約3,290万バレル)をUAE産原油が占めました。

また、日本のINPEX(国際石油開発帝石)はADNOCと共同でアブダビ海上鉱区(ADMA鉱区)における石油の開発・生産事業を40年以上にわたり行ってきました。2015年には同油田の参加権益5%を取得し(契約期間40年)、エネルギーの安定供給に貢献しています。

UAEは日本のエネルギー安全保障に直結する重要なパートナーであり、日本の原油供給源の多様化・安定化に欠かせない存在です。

産業面

エネルギーのクリーン化・多角化に向けた日・UAEの産業協力も進展しています。

ADNOC傘下のTA’ZIZ(タジズ)と三井物産はルワイス(UAE)にて、年間100万トンの低炭素アンモニアを生産する大型プラントを共同建設中で、2027年からの本格稼働を目指しています。

製造されたクリーン燃料(アンモニア)は日本を含むアジア市場へ供給される計画であり、石油以外の新たなエネルギーサプライチェーンを日・UAEで構築する取り組みです。

示唆

ADNOCのICVプログラムによる国内産業基盤の強化と、日本企業の積極的な参画も相まって、UAE国内で製造業・化学・クリーン燃料分野の発展と“国内化”が一段と進むことが期待されます。

これにより、UAEにとっては石油収入への過度な依存リスクの低減、日本にとっては安定的なエネルギー供給ルートの確保という双方の利益がもたらされると考えられます。

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